ブライダルイベ最終日までに、ギリギリ全部間に合った…かな?
前回:『ブライダル戦姫ッ!』は、こちら。
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【 10. ウェディングドレスッ! 】
あの『黒衣の花嫁事件』解決から一週間。
モデルの女性は無事に保護。
呪いのウェディングドレスも無傷で回収された。
しかし、マリアにはまだ大きな戦いが残っていた。
マリア「一度は引きずり降ろされた、あの戦場に──わたしは帰ってきたッ!」
三度行われることになった、ブライダル雑誌の撮影会。
これまでと同じモデル、同じドレスとは思えない輝きを放つ花嫁姿のマリアに、全てのスタッフが感嘆の声を上げる。その中には、あのデザイナーの女性、幸谷も含まれていた。
幸谷「今日のあなたはまるで別人……。何か掴めたようですね」
マリアは幸谷に、自分の心境の変化を伝えた。
ウェディングドレスは幸せの象徴で、着ればただ幸せをもたらしてくれると思っていたことを。そして、それは間違っていたことを。
マリア「ウェディングドレスは、幸せを掴もうと戦う花嫁の戦闘服。花嫁さんに、幸せを掴む勇気を与えてくれるものなのね」
マリアの言葉に、幸谷は頷いた。
幸谷「愛されるだけでは、幸せはすぐにそっぽを向いてしまう。自ら飛び込み幸せを引き寄せる、力強い腕が必要だった……。──ありがとう。そのドレスは、今のあなたこそふさわしいわ」
微笑む幸谷に、マリアもまた微笑みを返した。
マリア「わたしはあなたを誤解していたわ。あなたは純粋に、あの『呪いのウェディングドレス』を愛しているのね」
幸谷「そう……。そこまでお見通しなのね」
幸谷は、あのアンティークドレスが『呪いのウェディングドレス』と呼ばれることが許せなかった。
彼女をひと目で虜にしたデザインだけではない。結婚を前に愛する人を失って結婚式を挙げることができなかった幸谷にとっては、自らの過去とも重なって見えたのだ。
もし、自分が着られなかったウェディングドレスが、『呪われてる』などと言われたら──
幸谷「だから、全ては私のワガママです。あのドレスが、花嫁と幸せを掴む姿を見てみたかった……」
愛子「じゃあ、その姿、私がお見せしちゃいますねッ!」
現れたのは、まさにそのアンティークドレスを身に纏ったモデルの女性、城木愛子だった。
彼女に付き添った翼によると、S.O.N.G.から研究施設へのドレスの移送が、『なぜか』延期されたのだという。
愛子「だって、絶対に幸せになるって、このドレスに誓いましたから。今日からこのドレスは、『幸福のウェディングドレス』ですッ!」
幸谷「ありがとう、愛子さん……。私の願いをかなえてくれて──」
本当に、ありがとう。
マリアは空を見上げた。
幸谷のものではない、もう一人の声を聴いた気がしたのだ。
花嫁の幸せを後押しするという役目──ようやくそれが果たせたことに感謝する声を。
翼「どうかしたか? マリア」
いぶかしむ翼に、マリアは首を振った。
マリア「ううん。ただ、幸せを感じただけよ」
──と。
== 終わり…? ==
で、結局これ、なんで急遽ボツになったんでしょうね。
その辺を想像・妄想すると楽しい…かもしれません。😏